骨粗鬆症が及ぼすインプラント治療への影響とは？
骨粗鬆症であってもインプラント治療は可能であるのか質問をいただくことがありますので、今回はその質問にお答えしたいと思います。
骨粗鬆症でもインプラントが可能なの？
結論から申しますと、骨粗鬆症であってもインプラント治療は可能です。
骨粗鬆症は骨の密度が低下し、骨が脆くなる疾患です。そうなると、インプラント治療は無理なのではと考えてしまいがちですが、だからといって必ずしもインプラント治療が不可能というわけではありません。
①条件を満たし、②十分な準備とリスク管理を行えば、治療を受けることが可能になります。
次から上記の①と②についてそれぞれ説明していきたいと思います。
①骨粗鬆症におけるインプラント埋入のために満たすべき条件とは？
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骨密度の評価
骨密度測定（DXA検査など）やCT撮影を行い、顎骨の骨質・骨量がインプラントを支えるのに十分かどうかを評価・確認します。 -
全身的な健康状態の管理
骨粗鬆症以外の疾患（糖尿病、心血管疾患など）が併発している場合、それらが安定しているかどうかも治療の成績に大きく影響を与えます。全身状態が不安定だと、治療の成功率が低下します。 -
骨粗鬆症治療薬の管理
ビスフォスフォネートやデノスマブを使用している場合、薬剤性顎骨壊死（MRONJ）といって骨が外科的処置の影響で治癒せず壊死していくリスクがあります。最も避けるべきものであるため、治療計画を慎重に立てる必要があります。そのため必要に応じて、内科医と連絡をとりあって投薬の種類や服薬が遵守されているか、場合によっては薬剤の休薬期間を設けることが出来るか照会することもあります。 - 他にも全身状態や骨粗鬆症の程度によって考慮すべき要件は増えます。
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②骨粗鬆症におけるインプラント埋入時のための準備とリスク管理とは？
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骨の回復力の低下
骨粗鬆症であると、骨の回復が遅くなります。骨が再生する過程でインプラント本体と結合していく必要があるのですが、その期間が長くなったりインプラントの固定が不十分になることがあります。 -
薬剤性顎骨壊死（MRONJ）のリスク
骨粗鬆症治療薬を服用している患者では、十分な準備と管理下での手術が無事終えたとしてもその後に顎骨壊死が発生するリスクが消えたわけではありません。そのため、定期的に経過を見守る必要があります。 -
感染リスクの増加
骨粗鬆症は免疫力の低下も招きます。そのため、術前に抗生剤などの投薬をおこなったり、口腔内のクリーニングを入念に行ったうえでインプラント手術を行うようにすることがあります。
インプラント埋入後の注意点
無事にインプラントの本体を骨に埋入できたあとでも注意が必要です。
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骨と結合して安定するまで時間がかかる
インプラントは骨に直接埋め込み、骨と結合することで固定力を得ています。そのため、投薬で十分にコントロールできている状況であっても骨の密度が低いと、インプラントが固定されるまでの期間が通常より長くかかったりします。 -
定期的なインプラントのメンテナンス
定期的に歯科検診と同時にインプラントのメンテナンスを受けることは、インプラント埋入した場合非常に大切になります。ましてや、骨粗鬆症である場合は骨の状態や免疫力の兼ね合いから更に重要になってきます。 -
適切な口腔ケア
インプラント周囲の清潔を保つことが大切です。汚れているとインプラントの周囲に雑菌が繁殖し、歯ぐきが腫れるだけでなくひどい場合はインプラント本体の周囲の骨が溶けて下がってしまうことがあります。そのため、常日頃の正しい歯磨きを歯科医師や歯科衛生士から指導されたとおりに実践したり、清掃補助器具（デンタルフロスなど）を積極的に使い、炎症を防ぐようにします。 -
骨粗鬆症の治療を継続する
インプラント手術に伴って一時的に休薬していた場合は、主治医の指導に則って投薬を再開してください。骨密度を維持するために、医師の指導のもと骨粗鬆症治療を継続します。 -
無理な負荷を避ける
インプラントやその周囲の骨に過度な力がかからないよう、硬い食べ物を避けるなど、食事の形態の工夫が必要です。
まとめ
骨粗鬆症患者であっても、適切な準備と条件を満たすことでインプラント治療を受けることは可能です。治療前には骨密度の評価や全身的な健康状態の確認を行い、リスクを最小限に抑える計画を立てることが重要です。また、治療後も定期的なメンテナンスと注意深い口腔ケアが必要です。
インプラント治療を含め治療を検討している場合は、まず信頼できる歯科医に相談し、自分の状態に合った治療法を見つけることが成功への鍵となります。
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