喫煙によるインプラント治療への影響は?
投稿日:2025年2月3日
カテゴリ:インプラント
インプラント治療は現状において失った歯を補う最も優れた治療法ですが、患者の健康状態や全身状態、生活習慣までもがインプラント治療の成否に大きく影響します。
その中でも、喫煙はインプラント治療における最悪の敵と言えます。
なので今回は喫煙がインプラント手術の成功率を大きく下げるだけでなく、術後のトラブルを引き起こすリスクを増大させる理由や根拠についてお話したいと思います。
喫煙がインプラント治療に及ぼす影響
1. インプラント埋入手術の成功率低下
喫煙者は非喫煙者に比べ、インプラント埋入手術の成功率が明らかに低いことが多くの研究で示されています。その原因は以下の通りです:
- 血流の低下
喫煙は血管を収縮させ血流を悪化させます。インプラントを埋入した部位への血流も悪化させることになるので、骨の再生が十分に行われなかったり遅くなったりします。これにより、骨とインプラントの結合が不十分になりやすくなり、予後が不良になりやすくなります。 - 免疫力の低下
喫煙は免疫機能を弱め、感染症への抵抗力を低下させます。インプラント本体が骨と生着する前にインプラント本体周囲に雑菌(歯周病原因菌など)がまとわりついてしまうことで、インプラント本体の生着率の低下や術後の予後が不良になりやすくなります。
2. インプラント周囲の骨吸収
喫煙は骨代謝にも悪影響を及ぼします。血流低下に伴う骨への栄養供給が十分になされなくなる関係から骨密度が低下しやすくなります。それによりインプラントの安定性が損なわれ、長期的な使用に耐えられなくなり本体ごと脱落しやすくなる可能性があります。
3. 術後トラブルの増加
インプラントの埋入成功したとしても、喫煙者は非喫煙者よりもインプラント周囲炎を発症するリスクが高まります。これは、インプラントを支える骨や歯茎の健康が喫煙により劣化しやすいためです。仮に定められた通りにメンテナンスに通院していたとしても、歯ぐきやインプラント周囲の骨の健康を維持することは難しいでしょう。
喫煙者に見られる具体的なトラブル例
- インプラント周囲炎
インプラントを支える組織が炎症を起こし、骨の吸収が進む病気です。簡単に言えば、インプラントにおける歯周病のようなものですが、喫煙者はこのインプラント周囲炎発症リスクが高いだけでなく治療が困難です。喫煙者は免疫力が低下しておりインプラント周囲炎の原因菌に対しての抵抗力が落ちているためといわれています。 - インプラント脱落
血流低下による骨の栄養供給量が低下に伴い、骨とインプラント本体との結合が弱くなっているため、加わる力(咬合力)に耐えられずインプラント本体ごと脱落する可能性が高まります。 - 治癒の遅延
インプラントの術後の傷口がなかなか治らず、痛みや不快感が長引くだけでなく、傷口からの雑菌の侵入を許してしまい、インプラント本体が雑菌に汚染されてしまう場合があります。
喫煙者がインプラント治療を受けるために
-
禁煙の実施
インプラント治療を計画している場合、言うまでもなく術前からそれ以降も継続的な禁煙を実践頂くことが理想です。最低でも術前から2週間、術後は3ヶ月以上の禁煙が推奨されています。この期間はインプラントと骨が結合する重要な時期であり、禁煙が成功率を大きく左右するためです。 -
口腔ケアの徹底
喫煙者は歯周病になりやすいため、日頃から人一倍歯磨きやフロスを丁寧に行い、通常より短いスパンで定期的に歯科医でメンテナンスやクリーニングを受ける必要があります。 -
医師との相談
背負わなければならないリスクについても十分に理解したうえでインプラント治療に臨む必要がありますので、喫煙の影響を最小限に抑えるためにも、担当歯科医と禁煙計画も視野に入れた治療計画を相談しましょう。
まとめ
喫煙はインプラント治療の成功率を低下させるだけでなく、術後のトラブルを引き起こしやすくするため、インプラント治療を希望する方にとって最悪の習慣と言えます。成功率を高め、長く快適にインプラントを使用するためには、言うまでもなく禁煙が最も効果的な対策です。
自分の生活習慣を見直してインプラント治療をより良い結果に結びつけましょう。健康的な口腔環境を保つことで、インプラントの寿命も大幅に延ばすことができるようになります。
■ 他の記事を読む■